クリニック開業のススメ
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クリニックの風評対策とは?その悪い口コミ消せるかも!

クリニックの口コミ欄に、悪意のあるコメントが増えていて対策が必要だ!
このまま悪い口コミが増えていけば、新規患者が来なくなるのでは?
そんな不安を抱えるクリニック経営者の方も多いのではないでしょうか。口コミは、特に医療機関にとって非常に重要な影響を与える要素です。悪い口コミが一つでもあると、その印象が強く残り、信頼を失うことに繋がりかねません。しかし、悪い口コミを完全に消すことは難しくても、効果的な風評対策を講じることで、印象を改善し、着実に信頼を取り戻すことは可能なのです。
本記事では、クリニックが実践できる風評対策の具体例や、成功事例、そしてツールの活用法について詳しく解説していきます。もちろん、目先の対策の前に実際にクリックの課題として悪いコメントが発生している場合には、業務改善が何よりも必要であることは言うまでもありません。
口コミの重要性とその影響
まず口コミは、Googleの店舗検索ランキングに影響を与えるだけでなく、検索ユーザーが実際にクリニックを訪れるかどうかの決定にも大きく関わってきます。特に、ネット上の口コミは、患者がクリニックを選ぶ際の大きな決め手となるためとても重要となってきます。
例えばクリニックを訪れる前に、信頼できる情報を得たいと考える患者は、まず口コミサイトをチェックし、他の患者の体験を参考にします。そのため、良い口コミが多いクリニックは新規患者を獲得しやすく、逆に悪い口コミが目立つクリニックはその逆となります。つまり、口コミの質がクリニックの経営に直結していると言っても過言ではありません。
さらに、悪い口コミが集まることで、検索結果でのランキングにも影響を与えます。特にGoogleのアルゴリズムは、ユーザーの評価を重視しているため、悪い口コミが多いクリニックは上位に表示されにくくなります。結果として、潜在的な患者がそのクリニックを検索からアクセスしにくくなり、確認できないものは存在していないことと同じとなるため軽んじてはいけません。
また、クリニックのサイトにかろうじてたどり着いたとしても、口コミも悪くて人気のないクリニックの印象を与えることになるため、こちらも同様に注意が必要となります。
悪い口コミが増える原因とは?
そのような悪い口コミが増える理由はいくつかあります。
まず第一に、患者の期待に応えられなかった場合です。医療サービスにおいては、患者が求めるものと実際の提供内容にギャップが生じると、不満が生まれやすくなります。たとえば、待ち時間が長すぎる、スタッフの対応が冷たい、診療内容に納得がいかないといった状況が考えられます。
次に、患者とのコミュニケーション不足も大きな要因です。患者は、自分の状態や治療方法についてしっかりと説明されないと、不安を感じやすくなります。この不安が口コミに反映されることが多いため、十分な説明とサポートを行うことが重要となってきます。このように根拠があるものについては、課題をしっかりと受け止め、業務改善をしていくことがなにより一番の対策となります。
また、最近ではSNSや口コミサイトが普及しており、一つの悪い体験が瞬く間に広がることも影響しています。これにより、一人の不満が多くの潜在的患者に伝播し、事実よりも大きな風評被害が拡大するリスクが増している背景があるのです。
Googleの口コミに関する基本
Googleマップとは、目的地までのルート案内や周辺情報検索などができる地図サービスですが、マップ検索から店舗のビジネス情報だけでなく、店舗への評価を点数でつけ、レビュー(口コミ)を投稿する機能があります。また、Googleで店舗名を直接検索すると、口コミが検索結果に表示される仕組みにもなっています。
このGoogleの口コミ機能は、Googleアカウントを持っていれば誰でも無料で利用できるため、普段使わないアカウントを使ってネガティブな口コミを簡単に投稿できてしまいます。
そして、口コミの閲覧はアカウントがなくてもできるため、誰でもその内容を目にすることができます。そのため書き込まれた口コミがGoogleユーザー全体に広く拡散されるリスクがあるため、店舗にとっては慎重な対策が求められます。
ネガティブな投稿を消す方法
Googleマップには多くの口コミが寄せられており、時にはネガティブな書き込みも見受けられます。正当な内容であれば問題ありませんが、単なる嫌がらせのケースも少なくありません。
こうしたネガティブな投稿は集患に悪影響を及ぼす可能性が高いため、可能であれば削除しておきたいものです。そこで今回は、Googleマップにおけるネガティブな投稿を削除する方法として有名なものを、大きく分けて3つご紹介します。
ポリシー違反で報告
ポリシーに違反している口コミは、申請をすることで削除されることがあります。なお、ビジネス上では不利になりえるような口コミでも、公益性があるものについてはポリシー違反で削除される可能性は低いため、よほどの内容でなければこの方法での削除は現実的ではありません。
※審査が通ってから削除されるまでには約2週間かかります。
Googleに法的な削除を依頼
Googleでは法的に問題のある口コミは削除してもらえます。誹謗中傷など、営業を妨害するような悪質な書き込みがある場合は、不適切な口コミとして報告しましょう。
アカウントの作り直し
あまりにも悪質な口コミが多い場合は、アカウントを作り直すことも一つの方法とされています。当然ながら、良い口コミも消えてしまうのみならず、Googleにクリニック名や電話番号、住所などから重複したものと認識されて過去の口コミが再び紐づけれる可能性も高いため、実はあまりおすすめではありません。
全ての口コミを削除するのは難しい
効果的な風評対策をお伝えしたいところですが、明らかに悪質な口コミやスパムのような投稿は削除されることがあるものの、サービス内容に対する不満を述べた口コミは消すのが難しいのが実情です。しかし、ネガティブな口コミが残ると事業にとって不利となるため、何らかの対策を講じる必要があります。
そのような対策としては、地味に口コミの数を増やしたり、積極的に返信を行ったりすることが効果的でしょう。また悪い口コミに対する返信には、「今後のクリニック運営に役立てさせて頂きます」のように配慮ある返信を基本とし、かえって炎上させないように心がけなければなりません。
これらにより、悪い口コミが目立たなくなり、いたずら的な投稿は減少することが期待できます。もちろん、口コミを不正に増やすことはできないため、良い口コミを獲得するための努力・工夫をすることが基本ではあります。
Googleのガイドライン
ちなみにGoogleはユーザーの不利益になるようなことをガイドラインで禁止しています。
具体的には、実際には店舗を利用していないユーザーや店舗関係者による自作自演の口コミの禁止、良い口コミを書いてもらうために謝礼や割引などの対価を払う行為全般の禁止がガイドラインで明確に規定されていますので、あらかじめご留意ください。
口コミを増やすためには
ここからは風評対策ではなく、積極的に口コミを増やすための方法となります。そもそも口コミ自体が少なければ印象の薄いクリニックとして認知されず、魅力的にも映りません。
そのように口コミを増やすためには、さまざまなアプローチがありますが、悩みを抱えた患者様が来院されるクリニックにおいては、あまり派手にチラシやポップを活用して口コミを依頼するようなことは好ましくありません。とはいえ、アンケートなどで患者の意見を聞く機会を設けることは、日常業務では見えにくい接客応対などの問題を確認する気づきにもなります。
そして、口コミを増やす上で一つの効果的な方法としては、
直接、口コミをお願いすることとなります。
診療後や会計時に「良いクリニックにするため、もしよろしければ、口コミを書いていただけませんか?」といった一言を添えることで、その時の気持ちに直接働きかけることができます。
また、診療後のアンケートなどを活用することで、特に、満足しているお客様からの口コミを得やすくなり、信頼性の高い評価を増やすことが期待できます。これらの方法を取り入れることで、自然な形で口コミを増やし、クリニックの信頼度を高めることに繋がることでしょう。
最後に、口コミをしやすい環境がさらなる口コミ増加につながります。良いコメントがさらなる良いコメントの記入を呼び込むのです。院長みずから丁寧に口コミ返信をするなどで、口コミを書くことをためらっているユーザーにも投稿を促すことになります。
口コミ対策ツールの活用
その他の口コミ対策としては「口コミ管理ツール」や「口コミ促進ツール」など、様々なツールもあります。口コミが多い場合には、これらのツールを活用することで、悪い口コミへ早期に対策を立てるなど影響を最小限に抑えることも期待できます。
例えば、管理分析ができるツールを利用すると、これまで見えていなかった重要な情報が明らかになることがあります。ただし、単に分析するだけでは効果が限られるため、その結果を基に具体的な対策を講じることがワンセットです。
一方、口コミを増やすことに特化したツールを使用することで、良い口コミが自然に増えることが期待できます。これにより、クリニックの信頼性が向上し、患者を引き寄せることに繋がります。
悪意のある口コミが続くときは専門家に相談
これまでの説明してきた対策では、対応が難しいものがあります。それは、事実無根、あるいは過大なクレーム内容を含む悪意ある口コミが続くような場合です。
まず、書き込みの内容が真実でない場合、反論したくなる衝動に駆られることもありますが、そうした反論が相手の逆上を招くことになるかもしれません。近年では、患者による逆恨みから嫌がらせをされるケースも報告されており、法的手段が必要になることもあります。
そのため院内の課題ではなく、そのような性質の口コミが続くようなときには、最終的にはIT関連に強い弁護士や誹謗中傷対策コンサルタントのような専門家に相談しましょう。
場合によっては、発信者情報開示請求、削除請求、損害賠償請求など法的措置の専門的なアドバイスや、誹謗中傷コメントの監視や分析を行ってもらうことで、事業主としての負担を軽減してもらうことが望ましいです。
執筆者 / 松崎 史朗
税理士法人TOTAL 開業支援部部長
宅地建物取引士合格 FP2級技能士 証券外務員一種 明治大学卒業
国際証券(現在の三菱UFJモルガンスタンレー証券)でリテール営業を経験後、外資系メーカーなどにも勤務。個人事業4年間を経て平成30年より税理士法人TOTAL再入社