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院長先生に必要な「会計知識」とは?~数字を面白く読むコツ

院長先生に必要な「会計知識とは?」数字を面白く読むコツ

院長先生、こんにちは!今日は、クリニック経営に非常に大事なことながら、意外と苦手意識を持っている先生も少なくない「会計知識」のお話です。院長としては診療が第一ですから、会計は専門家に任せていて実は自分はあまり理解していない、、

毎月届く会計報告書、「なんだかよくわからん~」って思っていらっしゃるようでしたら、是非覚えておいて下さい。そのままにしておくのは大変もったいないお話です。その数字の中に、実は先生のクリニックの物語が隠れていて、経営改善のためのヒントが山ほどあるからです。今日は、その物語の読み方をお教えしちゃいます!

会計知識の第一歩!報告書が語る物語を読みとる

「よくわからん」から「なるほど!」へ

まずは、よくある会計報告書を見てみましょう。

  • 今月の収入:〇〇〇万円
  • 原価率:〇〇%
  • 販管費:〇〇万円
  • 利益:〇〇万円

…で、これがどうした?って感じでしょうか。毎月報告を受けてなんとなく分かっていると思うけど、利益は出ているわけだし、これ以上の詳細として何を理解する必要があるのか。

これから、大変重要な3つの基本をお伝えさせて頂きます。毎月、会計事務所の担当者が先生の所に持ってくる「報告書」ですが、上のような報告に対して「(実は)よくわからん」のままだと「とてももったいない」のです。

毎月、会計事務所が報告してくる数字は、院長先生とクリニックの従業員の皆さんが、日々患者さんと向き合い、診療なさったことの、大切な「結果」のご報告です。

「よくわからん」から「なるほど!」に変わる瞬間、それが会計知識の第一歩です。この数字を見て、

  • “収入は前年と横ばいだけれど、利益は増えているな。まぁ順調な方かな”
  • “ん?毎月発生している〇〇費ってなんだっけ?改善の余地があるのかも”
  • “なるほど、これは気が付かなかった・・思った以上に〇〇費用が増えているな。”

なんて思えるようになれば、もう会計知識からクリニックの物語を読み取り始めています。

数字が語る、あなたのクリニックの物語

実は、この数字の羅列、クリニックの健康状態を教えてくれているんです。例えば、

  • 収入が増えているのに利益が減っている?売上に対して人件費が膨らんでいるのか、、、
  • 昨年より原価率が上がっている?薬の仕入れ値が上がったか、不可解な在庫ロスが発生している可能性があるのか。
  • 販管費が急に増えた?新しい設備を導入したせいだな。スタッフも増やしたっけ。

こんな風に、数字は黙って語りかけてくれているのです。この声に耳を傾けることができれば、クリニック経営の新たな一面が見えてくるはずです。

会計知識の基本!数字を面白く読む、3つのコツ

さて、ここからが本番です。数字を面白く読むコツを、お教えしちゃいます。

比較する

“今月の収入は〇〇〇万円でした”じゃ、ピンときませんよね。でも、こんな風に比べてみると意味が出てきます。:

  • 「前月と比較」:先月と比べて3%アップでした。
  • 「前年同月と比較」:去年の同じ月より5ダウン…
  • 「平均と比較」:同じ診療科の平均単価より5%低いです。
  • 「目標と比較」:今年の売上目標に対して現状の達成率95%!

どうでしょうか。急に物語が見えてきませんか?比較することで、数字が持つ意味が明瞭になってきます。

クリニック内での比較も大切ですが、他のクリニックとの比較も面白いですよ。例えば、

  • 近隣のクリニックと比べて患者数はどうか?
  • 同じ規模、標榜科目のクリニックと比べて広告宣伝費率はどうか?

こんな風に比較してみると、自分のクリニックの強みや弱みが見えてくるかもしれません。

因数分解する ~数字を分解

因数分解。数学の授業を思い出しますが、会計で行うと全体でみると見えなかったものが、「因数分解」することで意味が見えてくることがあります。

例えば、11月の診療収入は900万円でした。

  • 社会保険診療:600万円
  • 国民健康保険:200万円
  • 自由診療(予防接種):50万円
  • 自由診療(健診):50万円

なんて分けてみると、”あれ…予防接種が減ってる?新患数に影響が出てくる可能性があるな、、、という風に、もう一段深い数字の意味が見えてきます。

また因数分解の基本は「〇〇」×「〇〇」×「〇〇」ですが、診療収入を「レセプト枚数」×「患者一人あたりの診療回数」×「一回あたりの平均点数」に因数分解して、それぞれの数字の増減を分析することで、経営改善のための具体的な課題が見えてきます。

「レセプト枚数」が減っている場合と、「平均点数」が落ちている場合では、それぞれ打つ手が変わってきます。

その他にも因数分解するにあたって、院長先生やスタッフがイメージしやすい数字の単位にすることも重要です。収入を考える際も、ただ、「100万円収入を増やすためにはどうすればよいか」ではなく、「1日あたり8名患者様を増やすためには」と考える方が、次に何をすべきかより一層具体的な行動に落とし込みやすくなるはずです。

時系列で並べる

さて、最後のコツは「時系列で並べる」ことになります。

「比較する」に近いのですが、時系列で並べてみるのも数字に意味が出てくるコツの一つです。単純に毎月の収入・経費を時系列で並べてみるだけでも、、、

  • “繁忙期と閑散期でこんなに収入の波があるのか。散期に無駄な人件費とならないように、兼ねてから考えていた社内教育を行おう。” 
  • “〇〇さんの給与が徐々に増えて、結構な額になっているじゃないか。一人だけ残業代が増えているけれど、何の業務なんだろうか、、、”
  • “バスアナウンス広告に80万円もかかったけれど、効果はでているのか。始めてからの毎月の広告宣伝費と収入の推移を見てみよう、、”

全体を俯瞰しながら毎月の数字を確認していくことで、「心にひっかかる何か」「違和感」のようなものが幾つも浮かんでくるようであれば、課題が見えてきています。課題が分かればあとはどのような手を打つかです。

会計知識は、案外面白い?

いかがでしたか?会計知識って、案外面白いだけでなく、クリニック経営の課題を見つけるためにも大変有効なのです。数字を面白く読むコツは、「数字に意味を持たせること」です。この数字はクリニックの中でどういう意味を持つのかを考えてみること。

数字を眺めるだけじゃなく、その背後にあるストーリーを読み取る。それが会計知識の本質です。その数字が、良いのか悪いのか。何かを改善すべきか、何かを新しく始めるべきなのか。そんな風に、数字が語りかけてくる意味をどれだけキャッチできるかがとても大事で、面白く読むコツだと思っています。

今回お伝えした「比較する」「因数分解する」「時系列で並べる」という3つのコツの方は、ぜひ、次に会計報告書を見るときに試してみてください。この基礎知識を意識するだけでも、それぞれの数字の意味が見えてくると、きっと、今までとは違う景色が見えてくるはずです。

ところで、今回お伝えしたのは会計のお話となります。この会計をベースに次に税務のお話がやってくるのですが、この「会計」と「税務」は似てはいますが完全一致するものではありません。この2つは先生方がよく混同しやすいものですので、こちらはまた別記事にてお話させて頂きますね。

執筆者 / 松崎 史朗

税理士法人TOTAL 開業支援部部長
宅地建物取引士合格 FP2級技能士 証券外務員一種 明治大学卒業

国際証券(現在の三菱UFJモルガンスタンレー証券)でリテール営業を経験後、外資系メーカーなどにも勤務。個人事業4年間を経て平成30年より税理士法人TOTAL再入社

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