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医院・クリニック開業の流れで重要な4つのポイントとは?

クリニック開業の流れ 重要なポイント

医院やクリニックの開業は、多くの医療従事者にとって理想の医療環境を築き、地域社会に貢献するための大きなキャリアの一歩です。しかし、開業は単なる夢ではなく、実現するためには多くの準備と計画が必要です。

本記事では、開業で成功するために重要な4つのポイント「開業コンセプトの明確化」、「立地・物件の選定」、「スタッフの求人募集」、「信頼のおける会計事務所選定」に焦点を当て、それぞれのポイントを解説します。これらの要点を理解し、適切に対応することで、スムーズで効果的な医院・クリニック開業を実現することができます。現在、開業を考えている方にとって、少しでもお役に立てればと思います。

開業コンセプトの明確化

医院やクリニックを開業するにあたって最初に考えていただきたいのは、、「開業コンセプト」を明確にすることです。このステップは、将来の運営方針や提供する医療サービスの内容を決定するための基盤となります。

なぜ開業をしたいと思われたのでしょうか?

開業とは、ただ新しい場所で診療を始めることではなく、新規に事業を起こすことに他なりません。医院・クリニック経営という事業は、仮に自己資金で開業資金の大部分をカバーできるとしても、莫大なエネルギーと時間を要するプロセスです。

医療理念の設定

開業を考える上で、「医療理念」の設定は最も重要な部分となります。どのような医療サービスを提供したいのか、地域社会にどう貢献したいのかを具体的に考えることが求められます。医療理念は単に治療を行うだけではなく、患者の生活の質を向上させ、地域の健康促進に寄与することを目指すものです。たとえば、「患者中心の医療提供」や「地域密着型の健康管理」、「最新技術を用いた診療の提供」などが考えられます。これらの理念がしっかりしていれば、立ち上げ期の困難な時期においても、スタッフや関係者にとっての指針となり、クリニックの一貫性を保つことができます。

サービス内容とターゲット層の決定

明確な医療理念に基づき、提供するサービス内容ターゲットとする患者層を決定することが重要です。これにより、競合との差別化を図ることができます。一般診療だけではなく、特定の専門分野に特化したサービスを提供することで、専門性を強調し、特定のニーズに応えることが可能です。例えば、小児科、婦人科などの専門クリニックや、健康診断や予防医療に特化したサービス、リハビリテーションの提供などが挙げられます。こうしたサービスの選定においては、地域の人口構成や競合状況をよく調査し、自院の強みを生かした内容を設定することが重要です。

差別化戦略の策定

多くのクリニックが存在する中で、どのように他と差別化するかを考えることは非常に重要です。差別化戦略を策定することで、自院の強みを最大限に活かし、患者に選ばれるクリニックを目指します。医療分野では、ユニークな医療技術や機器の導入、ホスピタリティを重視した患者対応、地域特有のニーズに応じたサービス展開などが差別化の具体的な方法となります。これにより、患者からの評価を高め、競争が激しい市場での競争優位性を確立することができます。

経営者としての心構え

開業後は予期せぬトラブルが起こり得ますし、事業主・院長としての責任の範囲は、勤務医時代や雇われ院長とは比べ物になりません。資金面だけでも、家賃やスタッフの給与など考慮することは山ほどあります。それらすべてについて、経営者として判断していかなければならないのです。一般的に、よほど集患がうまくいかない場合を除いて、凡そ半年から1年で損益分岐点は超えます。             

また、運転資金については、開業2か月目までは社保診療報酬の入金がないので非常に苦しいのですが、借入の据置期間と減価償却費を考慮すると、2年目の後半でも、運転資金が減り続けるケースはあまりないと思います。たとえ事前にシミュレーションで想定していても、立ち上げ期に手元資金が減っていく様子を目の当たりにすると、多くの医師は心配になることでしょう。「本当にこのままのやり方でいいのだろうか…」と不安に襲われることもあります。

開業コンセプトの重要性

厳しい立ち上げ期にモチベーションを落とさず、前進するためにも、事前に開業コンセプトをしっかりと確認しておくことが重要です。その開業コンセプトこそが「なぜ開業をする(した)のか」という問いの答えとなり、立ち上げ期に自分を支えてくれる心強い羅針盤となります。また、医業はサービス業です。クリニックの開業コンセプトや経営理念を検討するにあたっても、医業がサービス業であることを前提として考えるべきです。そうしないと「サービス先」であるお客様、つまり患者様にとって不満が目立つクリニックとなってしまう可能性があります。

加えて、医療サービスは医師のみではなく、スタッフとのチームプレーである点にも注意が必要です。院長がどれほど崇高なコンセプトや理念を持っていたとしても、それがスタッフに伝わっていなければ意味がありません。たとえば、治療行為がどんなに適切であったとしても、スタッフの対応が悪ければ患者様の満足度は低下し、クリニックとしての評価も期待できません。コンセプト・理念をクリニック全体に反映し、チームとして機能させるための方針も、しっかり考えていきたいところです。

立地と物件の選定

医院やクリニックの成功には、立地選びが大きく影響します。適切な立地を選ぶことは、患者数の増加を促進し、経営の安定を助けます。立地・物件の選定は、開業準備の中でも特に重要であり、慎重に行う必要があります。

理想的な立地条件の特定

開業を考える際に『物件の立地』は非常に重要です。どんなに質の高い医療サービスを提供しても、立地が悪ければ患者を集めることができません。患者に認識されていなければ、存在していないのと同じことです。このため、「診療圏調査」や「人口動態分析」などの具体的なマーケティング手法を用いて、最適な立地を見つけることが不可欠です。

診療圏調査の重要性

診療圏調査は、主として統計データを材料に、クリニックに通院してくれる潜在的な患者数を推計する手法です。具体的には人口(性別別、年齢別、昼夜間別)に疾病の受療率をかけて潜在患者数を算出し、「競合医療機関とその患者を分け合うと、どの程度の患者数が見込めるのか?」ということを確認するものです。これにより、潜在的な患者層を把握し、開業に適した場所を特定することができます。また、診療圏調査を活用することで、どの地域にどのような医療サービスが求められているのかを明確にし、クリニックの特色を打ち出す手助けとなります。

都心 vs. 郊外

クリニックを開設する際には、都心と郊外のどちらを選ぶかが重要な判断ポイントとなります。それぞれに異なる特徴があり、メリットとデメリットを考慮する必要があります。

都心のメリット

都心は交通アクセスが非常に良く、人口密度が高いため、多くの患者を見込むことができるエリアです。特に、仕事帰りや買い物のついでにクリニックを訪れる患者が多く、集患のチャンスが豊富です。

都心のデメリット

賃料が高く、競合が多い地域では、差別化要因がなければ患者を集めることが難しい場合があります。そのため、クリニックの個性や特色を打ち出すことが重要です。また、診療時間の設定やサービス内容で差別化を図ることも求められます。

郊外のメリット

家賃が比較的安く、広いスペースを確保しやすいのが特徴です。地域に密着したクリニックを開設することで、地域の住民を主要な患者層として獲得できます。地域密着型のサービスを提供しやすい環境です。

郊外のデメリット

人口密度が低いため、集患に時間がかかる可能性があります。また、交通の便が悪い場所では、患者がクリニックにアクセスしにくくなるため、車での来院を想定した必要駐車台数の確保も考慮に入れながらの立地選びが重要です。

駅前 vs. 住宅地

駅前と住宅地、どちらを選ぶかもクリニックの立地選定において重要なポイントです。どちらにもメリットとデメリットがあり、クリニックの目的や戦略に合わせて選択することが成功の鍵となります。

駅前のメリット

多くの人が行き交うため、自然と高い集客力を持ちます。通勤や通学の途中で立ち寄る患者も多く、短期間で認知度を上げることが可能です。また、商業施設やオフィスビルが多い駅前は、ビジネスパーソンや買い物客をターゲットにした集患が見込めます。

駅前のデメリット

賃料が高く、競争が激しいため、しっかりとした差別化戦略が必要です。特に評判の良い競合先のクリニックが近くにある場合は注意が必要です。駅前での開業を考える場合、どのようにして他のクリニックと異なるサービスを提供するかが重要になります。

住宅地のメリット

地域住民を中心とした安定した患者層が期待できます。また、親近感を持たれやすく、コミュニティの一員として信頼関係を築きやすい環境です。住宅地における開業は、家族連れや高齢者をターゲットにしたサービス提供が効果的です。

住宅地のデメリット

駅前と比べると人通りが少ないため、新規患者を獲得するのに時間がかかることがあります。また、住宅地の中でも住民構成やニーズをしっかり分析しないと、求められていないサービスを提供してしまう可能性があります。

物件の選定基準と内装計画

物件の選定は、適切な地域内で候補物件が見つかった後の重要なステップです。一般的なテナント開業での物件を選ぶ際には、まず物件の広さと間取りを考慮します。診察室、待合室、スタッフルームなどを配置する際に十分なスペースがあるかを確認することが必要です。また、診療科によっては特別な設備が必要になることもあるため、それに対応できる広さを確保することが重要です。

次に、施設の状態と設備についても確認します。物件の状態や設備が診療に適しているかを評価し、必要に応じて内装工事や設備投資が可能かを検討しましょう。また、賃料と契約条件も慎重に確認する必要があります。物件の賃料が集患予想との対比で予算内であることを確認し、契約条件がクリニックの運営に支障をきたさないかを確かめることが大切です。契約内容については専門家に相談することをお勧めします。

最後に、周辺環境も重要なポイントです。近隣に薬局の有無は非常に重要で、その他にも医療施設、飲食店などがあると患者にとって便利な立地となります。また、地域の治安や騒音の有無も確認し、患者が安心して訪れることができる環境かどうかをチェックすることが求められます。

近隣施設と競合分析

立地選定においては、周辺施設や競合の分析も欠かせません。近隣施設がどのようにクリニックの集患に影響を与えるかを把握することが重要です。

近隣施設の活用

薬局やリハビリ施設、フィットネスジムなどの近くにクリニックを構えることで、患者にとって便利なワンストップサービスを提供できる可能性があります。これにより、患者の利便性が向上し、リピーターを増やすことが期待できます。

競合施設の分析

競合の強みや弱みを分析し、自院の差別化ポイントを明確にしましょう。例えば、競合が提供していない診療時間やサービス内容を設定することで、競争力を高めることができます。また、競合がどのようなマーケティングを行っているかを把握し、自院に取り入れられるポイントを見つけることも重要です。

地域コミュニティとの連携

地域のイベントやコミュニティ活動に積極的に参加することで、地域社会に根ざしたクリニックとして認知を広め、患者との信頼関係を築くことができます。地域住民との信頼関係を構築することで、口コミによる集患効果が期待できます。

経営視点からの立地選定

「適切な医療サービスを提供していれば、いずれ口コミなどで分かってもらえるはず…」というのはありがちな思い込みですが、経営の視点から見ると大変危険です。立ち上がりの厳しい時期を乗り越えるためにも、開業地の選定にあたっては集患が難しい立地を選択すべきではありません。

立地選びには戦略的な思考が求められ、診療圏調査や人口動態の分析を通じて最適な場所を見極めることが求められます。特に新規開業の場合、新規の集患が経営の安定に直結するので、リスクを最小限に抑えるためには慎重な選定が必要です。成功するクリニックの多くは、開業前からしっかりとしたリサーチを行い、立地選びに戦略的に取り組んでいます。

スタッフの求人募集

クリニックの成功には、優秀で献身的なスタッフの存在が不可欠です。適切なスタッフを採用し、効果的なチームを構築することで、クリニック全体の運営がスムーズに進むだけでなく、患者満足度の向上にもつながります。

求人の方法と採用基準

スタッフの求人募集は、クリニックの理念や運営方針に合った人材を見つけるために非常に重要なポイントです。求人活動を行う際には、以下の方法と採用基準を考慮することが求められます。

まず、求人媒体の選定です。求人情報は、オンライン求人サイト、クリニックのウェブサイト、医療系専門の人材紹介会社、SNSなどを通じて広めることができます。ターゲットとする人材が最も集まりやすい媒体を選び、効果的に情報を発信することが成功の鍵です。

次に、採用基準の設定です。採用基準は、クリニックの理念やサービスに合致する人材を選ぶための指針となります。具体的には、必要な資格や経験、スキル、さらにはコミュニケーション能力や患者対応におけるホスピタリティなども重要な基準となります。

また、採用基準を考える上で、具体的に考慮すべきポイントとして、相性とシフトの調整、そしてマネジメント能力の評価があります。客観的な人材の質だけでなく、シフトの問題や院長および他のスタッフとの相性も重要です。いくら「良い人材」であっても、クリニックや院長との相性が悪いと早期離職につながりかねません。また、開業当初からある程度の人数を確保しなければならない場合、それらの人を束ねるマネジメント能力を有する人材の採用も重視する必要があります。チーム全体をまとめ、円滑に運営できる人材を見極めることが、クリニックの成功にとって重要な要素となります。

スタッフ教育とチームビルディング

優秀なスタッフを採用した後は、適切な教育とチームビルディングを通じて、効果的なチームを構築することが重要です。ほとんどのクリニック開業ではこの辺りまで手が回らず疎かになりがちですが、以下に、スタッフ教育とチームビルディングのポイントをまとめます。

まず、導入研修です。新たに採用したスタッフには、クリニックの理念や業務フロー、患者対応の基本についての導入研修を実施します。この研修を通じて、スタッフ全員が同じ目標に向かって働けるようにし、クリニック全体の方向性を共有することが大切です。

次に、継続的な教育プログラムの提供が重要です。医療業界は常に進化しているため、スタッフのスキルアップを支援するための継続的な教育プログラムを用意しましょう。外部のセミナーや研修に参加する機会を設けることで、スタッフが最新の知識や技術を習得し、業務に活かすことができます。

労働条件と福利厚生

スタッフのモチベーションと定着率を高めるためには、労働条件や福利厚生の充実が不可欠です。人材は貴重な資産であると同時にコストにもなり得るため、慎重に環境を整えることが求められます。

まず、給与とインセンティブについてです。

業界水準を参考にしながら、経験やスキルに応じた公正な給与体系を設定することが重要です。また、個人の成果だけでなく、チーム全体で繁忙期を乗り越えた努力を評価するために、「繁忙手当」(ミニ賞与)などの制度を導入することを検討してはいかがでしょうか。これにより、スタッフのモチベーションを高めつつ、クリニックへの忠実性や献身性を醸成し、チームワークを促進することができます。導入する報酬制度は、「どのような働き方をしてほしいか」や「クリニックをどのような職場にしていきたいか」をスタッフに伝えるメッセージとなるため、慎重に選択することが重要です。なお、インセンティブや手当を取り入れる場合、給与計算が通常よりも複雑になる可能性があります。

次に、労働時間と休暇制度について考慮します。

労働時間に柔軟性を持たせ、スタッフのワークライフバランスを考慮したシフトを組むことが理想です。一般的に小規模なクリニックでは、限られた人員でシフトを組む必要がありますが、適切な休暇制度を整備し、スタッフの心身の健康をサポートすることで、より働きやすい職場環境を提供できます。

さらに、福利厚生の充実も大切です。

社会保険や健康診断、研修費の補助など、スタッフの生活を支える福利厚生を提供することで、優れた人材の応募を促進することができます。ただし、良い人材(資産)ばかりだからといって、過剰な採用により人件費の増加(コスト増)とならないように注意が必要です。バランスを保ちながら、スタッフの満足度を向上させることで、長期的なスタッフの成長を目指しましょう。

スタッフとの信頼関係の構築

クリニックの運営においては、スタッフとの信頼関係の構築が不可欠です。スタッフとのコミュニケーションを強化するために、以下の方法を実践しましょう。

まず、定期的な面談を行うことが重要です。スタッフ一人ひとりと定期的に面談を実施し、業務状況や悩みを共有する機会を設けます。面談を通じて、スタッフのモチベーションや不安を把握し、必要なサポートを提供することができます。このような機会を持つことで、スタッフは自身の意見を表明しやすくなり、信頼関係の強化につながります。

次に、フィードバックと評価をしっかりと行うことが大切です。スタッフのパフォーマンスを評価し、具体的かつ建設的なフィードバックを提供することで、スキルの向上を促進します。フィードバックは感謝や称賛と共に行うと、スタッフのやる気を引き出すことができますが、評価の見返りとして昇給など具体的に目に見える形で考えてあげる必要もあります。

さらに、オープンなコミュニケーション環境の整備も必要です。クリニック内でオープンなコミュニケーションを促進し、意見やアイデアを自由に交換できる環境を作り出すことが重要です。これにより、スタッフ間の協力関係を強化し、チームとしての結束力を高めることが可能です。また、スタッフが気軽に意見を言える場を設けることで、新しいアイデアや改善策が生まれる可能性も高まります。

これらの方法を通じて、スタッフとの信頼関係を築き、クリニック全体の運営を円滑に進めることができるでしょう。

信頼のおける会計事務所選定

医院やクリニックの経営において、財務管理は極めて重要な要素です。開業初期の段階から、しっかりとした会計処理や税務対策を行うことで、事業の安定的な運営を支えられます。信頼のおける会計事務所を選定し、長期的なパートナーシップを築くことは、成功への重要なステップです。

会計事務所選びのポイント

クリニック開業前は「無事に開業するまで」が気になるものですが、クリニックとしての本番は開業後です。開業後に本格的な付き合いが始まるのが税理士(会計事務所)と社会保険労務士です。以下のポイントを考慮して、適切な会計事務所を選びたいものです。

医療業界の経験

医療業界に特化した会計事務所を選ぶことで、業界特有の法律や税務、経理に精通したサポートを受けることができます。医療機関の特殊なニーズに対応できる知識と経験を持つ事務所が理想的です。

コミュニケーション能力

担当者とのコミュニケーションが円滑に行えることは重要です。開業までのコンサルタントと開業後の担当は異なることが多いため、どのような担当者となるのか事前に聞いておくとよいでしょう。

実績と評判

過去の実績や他の医療機関からの評判を調査し、信頼性を確認します。特に同業者からの推薦や口コミは、信頼のおける判断材料となります。

料金体系の明確さ

料金体系が明確で、予算に合ったサービスを提供してくれるかどうかを確認しましょう。料金に不透明な部分がないか、気になる箇所はよく確認しましょう。

税理士と社会保険労務士の役割

クリニックの開業後に重要な役割を果たすのが、税理士と社会保険労務士です。それぞれの役割を理解し、適切なパートナーを選びましょう。

税理士

税理士は確定申告を踏まえた効率的な節税策の提案や、毎月の経営状況の報告を行います。税法の変更にも迅速に対応し、クリニックの利益を最大化するためのサポートを提供します。

社会保険労務士

社会保険労務士は、スタッフの雇用に関する各種手続きや、労務問題が発生した際の対応相談を行います。スタッフの働きやすい環境を整えるために、就業規則の整備や院内ルールの明確化をサポートします。

開業支援サービス

会計事務所の中には手厚い開業支援サービスを提供している所もあります。提供される支援内容には「就業規則や院内ルールの整備・明確化」といった項目が含まれている所なら労務管理の面からも安心で、これらはその後の経営効率に大きな差をもたらします。

開業支援サービスの注意点

手厚い開業支援サービスを提供している会計事務所は魅力的ですが、注意すべき点もあります。

担当者の継続性

開業前に対応していた担当者が、開業後も引き続き税務・労務を担当するとは限りません。担当者が変わる可能性も考慮し、開業後のサービス内容を事前に確認しておきましょう。

経理・税務サポートの重要性

会計事務所は、単なる経理・税務のサポートを超えて、クリニックの経営を強力にサポートします。以下は、会計事務所が提供する重要なサービスの一例です。

記帳代行

日常の取引を正確に記帳し、財務状況を常に把握することが重要です。正確な財務情報をもとに、経営判断を行うことができます。

税務申告と節税対策

会計事務所は、適切な税務申告を行い、合法的に節税対策を講じることで、クリニックの資産を最大化します。税法の変更にも迅速に対応できる知識が求められます。

キャッシュフロー管理

開業初期は特にキャッシュフローが重要です。会計事務所のサポートを受けながら、資金繰りの安定化を図りましょう。

経営分析と改善提案

定期的な財務分析を通じて、経営改善のための具体的な提案を受けることができます。財務的な経営課題を明確にし、改善策を講じることで、クリニックの成長を支援します。

長期的なパートナーシップの構築

会計事務所との関係は、単なる業務委託に留まらず、クリニックの経営を共に支える重要なパートナーシップです。この関係を長期的に築くためには、信頼関係の構築が不可欠です。会計事務所とは長期間にわたって密接に関わることになるため、互いにオープンなコミュニケーションを心掛けることが重要です。また、クリニックの経営状況や目標を定期的に共有し、会計事務所からのフィードバックを受けることで、会計や税務の面からの戦略的な経営判断をサポートしてもらうことができます。さらに、経営上の課題が発生した際には、場合によっては会計事務所と協力して解決策を模索する協力体制を整えることが求められます)。こうした取り組みを通じて、共に成長し続ける関係を構築することが、クリニックの長期的な成功に寄与するのです。

「TOTAL医療チームでは、税務契約・労務契約を前提に、融資申込みの相談、行政への届出、採用活動の相談、面接、入職者に対する説明会、経理研修、就業規則や院内ルールの作成など、多岐にわたる開業支援を行っています。」

開業医の成功率が高い理由

開業医は一般的に高い成功率を誇ります。何をもって成功とするかは医師によって異なりますが、多くの場合、地域の患者が集まり、クリニックの経営が継続可能であることが成功の基準とされています。開業医の成功率が高い理由の一つには、地域に密着して患者を獲得しやすいことや、必要な融資を受けやすいことが挙げられます。

しかし、開業には多くの準備と計画が必要であり、決して簡単、且つ必然の成功ではありません。クリニックを開業する際には、地域住民の年齢構成や性別、などの幅広い情報を収集することが重要です。さらに、地域にある他のクリニックの売上や経営状況を可能な限り把握することも欠かせません。これらの情報は、開業する地域の医療ニーズを理解し、適切なサービスを提供するための基盤となります。

また、クリニックを開業する際には、実績のあるコンサルタントによる事業計画書を作成することが非常に重要です。適切な事業業計画書は、融資を求める際に金融機関からの信頼を得る手段となり、審査にも通りやすくなります。金融機関から信頼を得たクリニックは、開業後も順調に経営を進めやすくなるでしょう。このように、十分な準備と計画を行うことで、開業医としての成功への道が開かれます。

順調な医院・クリニック経営を実現するために

クリニック経営は一般的な事業に比べて失敗する確率は低いとされていますが、それでも安易にとらえることは危険です。成功を手にするためには、適切な手順を踏んで慎重に計画を立てることが必要です。開業前の準備段階で十分に時間をかけ、考えうるリスクや課題に対する対策を練っておくことが重要です。

経営者としての責任を全うするためには、日々の業務に加えて、社会情勢の変化や予期せぬトラブルにも迅速に対応する力が求められます。例えば、嵐のような大きな社会状況の変化に直面することもあるでしょう。そのような問題に対しても、適切な対策を試みながら前進する必要があります。

「開業コンセプトの明確化」、「立地・物件の選定」、「スタッフの求人募集」、「信頼のおける会計事務所選定」の4つのポイントは、クリニック経営の基盤となる重要な要素です。これらを大きく外すと、業務に支障が出ることにもなりかねません。したがって、開業前にしっかりと検討し、準備を整えることが大切です。

最終的に、クリニック経営が成功するためには、確固たるビジョンを持ち続けること、そして実現するための適切なリソースを整え、信頼できる専門家とともに進むことが肝要です。クリニックを訪れる患者に安心と信頼を提供し、地域に貢献する存在として成長し続けるために、最善の準備を行いましょう。

執筆者 / 松崎 史朗

税理士法人TOTAL 開業支援部部長
宅地建物取引士合格 FP2級技能士 証券外務員一種 明治大学卒業

国際証券(現在の三菱UFJモルガンスタンレー証券)でリテール営業を経験後、外資系メーカーなどにも勤務。個人事業4年間を経て平成30年より税理士法人TOTAL再入社

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