2020年2月28日 「医院・クリニックの内覧会当日、注意するべきポイントとは?」を公開しました!

院長先生に必要な「会計知識」とは? Vol.0「数字を面白く読むコツ」

会計事務所の「報告書」、”なんだかよくわからんな~”になってないですか?

今回は、院長先生に必要な「会計知識」について。

毎月、会計事務所の担当者が先生のところに持ってくる「報告書」。

”なんだか数字がいっぱいならんでるけど、よくわからんな~”

と思われることはないでしょうか?

 

・・・先生のおっしゃるとおりです。

会計をはじめとする「数字」は、その「数字が、先生にとって何を意味するのか」を合わせてご理解いただいてこそ、はじめてお役に立つもの。

(あんまりあってほしくないけど、ないともいえない「会計事務所からの報告」)

  • 今月のご収入は〇〇〇万円でした
  • 原価率は〇〇%でした
  • 販売管理費は〇〇でした
  • 残りの利益は〇〇でした

・・・。

・・・。

・・・で、何?

もし万が一、今、院長先生が、毎月そんな報告を受けておられるとしたら。

”なんだか数字がいっぱいならんでるけど、なんだかよくわからんな~”

という反応になられるのはごもっとも。

でも、それって、とってももったいないんです

 

毎月、会計事務所が報告してくる数字は、院長先生とクリニックの従業員の皆さんが、日々患者さんと向き合い、診療なさったことの、大切な「結果」のご報告です。

”なんだかよくわからんな~”、ではなく、

  • ・・・よしよし、思った通りに進んでいるな
  • ・・・あ、それなら、来月からこうしてみよう
  • ・・・あ、ここは、ちょっと手を打たないとまずいな

・・・と、毎月の報告書を、院長先生が理想とするクリニックを実現するための道しるべにして頂けるように、院長先生に必要な「会計知識」をひとつずつ、ご紹介できればと思います。

 

内容は、

  • Vol.1 損益計算書とは
  • Vol.2 貸借対照表とは
  • Vol.3 キャッシュフローとは

の大きく3つになりますが、その前に今回は「数字を面白く読むコツ」を少しだけお伝えしたいと思います。

 

数字を面白く読むコツ、ご存知ですか?

「数字を面白く読むコツ」。

色々ありますが、一番は「数字に意味を持たせること」。これに尽きる、と思います。

私は、税理士になる前は、長らくコンサルタントとして、色んな「数字の報告書」を作って、お客様にプレゼンする、ということをやっていました。

コンサルタント時代、報告書に赤を入れられながら、いつも上司に言われていた言葉。

”これって、お客さんにとってのSo what?は何なの!?”

(よく考えると、”それって何”は何なの?って、日本語にしたら変な言い回しですが笑)

要は、
「この数字は、お客さんにとってどういう意味があるのか?」、ということ。

 

数字を見て、

  • いいといっているのか?悪いといっているのか?
  • 何かを改善しろといっているのか?何かを新しく始めろといっているのか?

といった「意味」をどれだけ感じ取れるのか、が大事なんだと思います。

じゃあ、「意味」を感じる、っていってもどうしたらいいの?

ということで、

「数字に意味」を感じるためのコツを3つほど、お伝えしたいと思います。

 

数字を面白く読むコツ ①比べる・②因数分解する・③時系列で並べる

①比べる

”今月のご収入は〇〇〇万円でした。”

・・・では、「で、何?」となってしまうところですが、「何かと比べる」ことで、数字に意味が出てきます。

比べる対象はいろいろあります。

  • 対「前月」:先月と比べて・・・でした
  • 対「前年同月」:前年の同じ月と比べてみる:昨年の同じ月と比べると・・・でした
  • 対「平均」:同じ診療科目の平均と比べると・・・でした
  • 対「目標」:先生が今年目標とされている数字と比べて・・・でした

比べることで、単純な数字に「意味」が見えてきませんか?

 

②因数分解する

因数分解、ってお聞きになったことはありますでしょうか?

全体で見るとみえないものが、「因数分解」することで、「意味」を持つことはよくあります。

そこで、因数分解のシンプルな例を、3つほど挙げてみます。

 

(1)診療収入を保険種別で見てみる

”今月のご収入は〇〇〇万円でした”
と全体の数字では見えないところを、

社会保険診療は〇〇〇万円、国民健康保険は〇〇〇万円、自由診療のうち予防接種は〇〇〇万円で健診は〇〇〇万円、と分けることで、

”・・・ん?昨年に比べて予防接種が減っているかも、新患数に影響がでてきそうだな・・・”
と、一段深い数字の「意味」が見えてきます。

 

(2)診療収入を「レセプト枚数」×「通院回数」×「平均点数」に分けてみる

「〇〇」×「〇〇」×「〇〇」も因数分解の基本です。

「収入」とひとくくりにとらえるのではなく、

「レセプト枚数」×「通院回数」×「平均点数」に因数分解して、

数字の増減を分析することで、具体的なアクションが見えてきます。

「レセプト枚数」が減っている場合、「平均点数」が減っている場合、
それぞれ、打つべき打ち手は違いますよね。

 

(3)1日あたりの患者数 にしてみる

因数分解するにあたって、

院長先生やスタッフの皆様がイメージしやすい数字の単位にすること

も非常に重要です。

収入を考える際も、ただ単に、「〇〇万円収入を増やすには?」ではなく、「1日あたり〇人患者様を増やすには?」と考えるほうが、次に何をやるべきか、をもっとイメージしやすくなります。

 

③時系列で並べる

①の「比べる」、と近いのですが、時系列で並べるのも、数字に意味が出てくる簡単なコツのひとつ。

「毎月の収入・経費を時系列で並べて見てみる」だけでも、色々と見えてくるものがあります。

”繁忙期とそうじゃない期で、こんなに収入が違うのか。閑散期にスタッフにやってもらえることはやってもらっておこう”

とか、

”・・・あ、なんだか給与って徐々に増えてないか?そういえば最近残業が目につくな”

とか、

”あのバス広告は追加で〇〇万円もかかったけど、効果はあったのかな?そもそも、広告宣伝費は何もしなくてもこれだけがかかるのか、、、そういえば、あの〇〇ってもうやらなくてもいいのでは?”

とか、全体を俯瞰するように毎月の数字を見てみることで、先生の頭の中に「ひっかかる何か」が幾つも浮かんでくると思います。

その「ひっかかる何か」をわれわれ税理士にお伝え頂き、何をしたらよいか、を一緒にご相談する、というのもいい方法ですね。

 

・・・以上、今回は、会計から少し離れた話題になりましたが笑、これらはコンサルタント1年生なら必ず学ぶといってもいい基礎知識。

今後、院長先生が「報告書」をご覧になるのに、少しでも「お!」と思っていただけるきっかけになれば、と思います。

それでは、次回からはいよいよ、具体的な「会計知識」について。
まずは、損益計算書からいきましょう。