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医院・クリニックの給与・賃金規定の決め方

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医院・クリニックの給与・賃金規定の決め方

2017年5月19日更新

給与
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給与は従業員の生活の糧であると同時にクリニックにとっては「固定費」となります。  給与は退職理由の上位に挙げられるほど経営者側と従業員とでは考え方のギャップが生じやすいものです。  最終的には院長先生が納得できる金額で給与額を決定しますが、あらゆる場面を事前に想定し、計画的に「固定費」を見積もっておくことが重要です。

医院・クリニックの給与・賃金規定の決め方

1.就業時間を決める

クリニックの診療時間と就業時間(労働時間)はイコールではありません。診療開始前のミーティングや掃除等の準備、診療後のお金の締め、後片付けも労働時間となり給与を支払う必要が生じます。
クリニックは、その日の患者さんの動向で労働時間が左右されやすくなります。 診療時間と就業時間を同じ時間帯で設定してしまうと、毎日のように時間外労働が発生し、残業代を支払わなければなりません。

  • (例)月給30万円の看護師1時間あたりの残業単価  2,344円
    (月間所定労働時間160時間の場合)
  • (例)月給18万円の受付事務1時間あたりの残業単価 1,407円
    (月間所定労働時間160時間の場合)
もともと診療時間の設定が長い場合には、残業する従業員を増やさないために、早番、遅番の制度をとり入れることも検討してください。

2.職種と地域の相場で給与を考える

給与を決める初めのポイントは職種による相場です。月給、時給、臨時の医師には日給でお支払することもあります。
特にクリニック開業の場合には、経験者を中途採用する場合が多いため、職員は前職との給与の比較をもとに考えます。
しかし、病院勤務とクリニック勤務ではその内容に大きな違いが出てきます。 特に看護師さんは夜勤がなくなることで労働時間が短縮されますが、夜勤手当がつかないことで手取りを見た時にギャップを感じやすくなります。
また、看護師と事務職では年収に1.5倍もの差が生じてきます。 職種、業務内容、労働時間をわかりやすく示し、それに見合った給与額であることをきちんと説明できるようにしておくことが大事です。どの職種でも院内の清掃等の庶務も業務に含まれることも強調しておきましょう。
そして、勤務地によっても給与に差は生じます。駅から離れた場所にあるクリニックの場合、近隣にお住いの方を採用するのであれば通常の給与でいいのですが、他地域へ募集をかける際は、年収を高めにしておかないとなかなか応募につながりません。クリニックを開業される地域の求人を見ていただくことでおおよその相場がわかります。

3.基本給以外の手当を検討する

基本給以外に、資格や役職、個々の経験や能力を評価して手当という形で支給することができます。これは事前に看護師資格には○○円、医療事務資格には○○円と一定の基準を定めておいた方が、院長先生も職員もわかりやすくていいでしょう。
ただ、あまり手当をたくさんつけるのは、かえって煩雑になってしまうため、 資格手当、職務手当、職能手当くらいの3つに抑えておくのがいいかと思います。
また、クリニックが開業したばかりのときは職員の能力に期待をする形で給料を決めることになりますので、期待以上の働きをしてくれた方には、昇給の時にきちんと評価をしてあげることが大事です。

4.通勤費も人件費の一部

通勤費の支払いについては法律の定めはありません。だからと言って、自分でお金を払って通勤してくださいとなると、誰も入職しなくなってしまいます。事業所で規定を作ってそれにしたがって支給することをお奨めします。
定期券は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月単位で購入することができますので、その制度を利用してください。また、自宅から最寄りの駅までの距離が遠い方はバスの使用を希望される方もいらっしゃいます。更に場所によっては車通勤を希望される方もいらっしゃいます。それぞれの交通手段において、職員の安全を第一に考え、合理的で経済的な方法を定める必要があります。また、通勤費は人件費の一部ともとれます。1ヶ月あたりの上限を定めておくのもよいでしょう。

まとめ

給料の決め方は、クリニックによって様々です。ですが、一度決めた給与を下げることは相当の理由がない限り、できません。それだけの仕事を期待しているか、それに支払う対価は世間と比べてどうかという点も踏まえて決定をしてください。

この記事を書いた人

矢野美穂子

税理士法人TOTAL 開業支援チームの中心メンバー。医療専門会計事務所で数多くのクリニック・医療法人の支援経験を積んだ後、税理士法人TOTALに参画。開業支援チームの核として、年間数十件のクリニック開業をリードしている。税務会計はもちろん『クリニックの労務』にも精通。複雑で面倒なクリニック開業の手続きを丁寧にきめ細やかに対応していく姿には、開業を控えた先生からの信頼も厚い。